私たちが、小さい頃から何の疑問も持たずに使ってきた「新宮弁」。成長して都会に出ていった皆さんは、その土地で使われている言葉と故郷・新宮の言葉との違いについてどのように思われたでしょうか?そして、その後、故郷の旧友に会ったり、帰省したときなどにふとついて出る新宮弁。あなたは新宮弁をどう思いますか?

万人が認める新宮弁の達人にして新宮弁研究の第一人者・城かず坊先生が、新宮弁の深淵に迫ります。それでは、よろしくお願いいたします。(編集長・八咫烏)
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仰天熊野語!!

【おっさん】
「おっさん」といえば、ほとんどの日本人は「オジさん」の意味と思うことでしょう。しかし、ここ熊野では「おっさん」といえば、ありがたい「和尚さん」のことなのです(静岡、鳥取でもいう)。「クソおやじ」などと言っては、バチがあたりますゾ!

「明日、3年忌やさか、おっさん迎えに行ってこいよ」 とか
「おっさん来な、式ゃ(葬式のこと)始まらんデ!」などと使います。

アクセントは、オヤジの「オッさん」が尻上がりなのに対して、和尚さんの「おっさん」は頭にアクセントがあり、尻下がりです。「デッサン」と同じです。このアクセントを間違えると大変。地獄へ落ちること請け合いです。

静岡、鳥取でもアクセントには要注意とのことですから言葉はコワイですね。
ナンマンダブ、ナンマンダブ・・。

【おどろく】
「赤ちゃんがおどろいた」、「ゆうべは何べんもおどろいた」といえば、何かに驚いた、と思うのが日本の常識。国民の9割以上。ところが熊野では、「おどろく」といえば「目が覚める」という意味というから驚くではありませんか(他に広島、徳島でも「おどろく」という)。

赤ちゃんが起きぬけに「エーン」と泣くと、
「あ、おどろいたかして・・」などと言います。決して、ビックリしたのではありません。お目覚めなのです。

「赤ちゃん、寝たか?」
「ううん、まだおどろいたぁるワ」
ママと長女でこんな会話が交わされます。

決して驚きっぱなしというワケではありません。「まだ、起きている」という意味です。安らかで、おだやかなひと時なのです。

ちなみに熊野では、驚いた場合には「ビックリした」という表現の方が、多く使われるように思います。

東京夫人は「まぁ、おどろいた!」
熊野夫人は「まぁ、ビックリしたヨー!」です。

「驚いた」を使う場合は「おっどろいた!」とデカイ声で叫び、こちらが驚かされます。

【うめる】
「オーイ、風呂うめたれ!」
「エー、風呂を埋めるの?」
と思うのが国民の9割以上。しかし、しかし、熊野では「うめる」とは「埋める」ことではなく、水を注して温度を下げることをいいます。「薄める」という意味です。(他に滋賀、長野、伊豆地方でもこういう。

福岡、長崎、広島では「うべる」。島根では「おべる」というらしい)。

カルピスや濃いコーヒーも「うめる」言うたかぃのぉ?。しかし「うめる」とは知らないと少しビックリしますね。

【かる】
「頭、刈ったれー!」
「ドヒャー、ゾンビ(古いか?)の世界。コワーい!!」
と思うのが9割以上。

東京の人なら「髪、切っちゃえ」、大阪の人なら「髪、切りなはれ」、福岡の人なら「髪、切らんとネ」と言うところを熊野の人は「アタマ、刈ったれ!」です。

ススキを刈るのも、髪の毛を切るのも同じ。山を刈るのも、頭をかるのも同じ。豪快「丸刈り」です。
さすが、「先生、あるか?」とか「父さんあるか?」(共に「居るか?」の意)という国柄だけのことはあります。
いやはや、ビックリ。

以上、仰天熊野語!!でした。

次回は「世界方言宣言」です。

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