私たちが、小さい頃から何の疑問も持たずに使ってきた「新宮弁」。成長して都会に出ていった皆さんは、その土地で使われている言葉と故郷・新宮の言葉との違いについてどのように思われたでしょうか?そして、その後、故郷の旧友に会ったり、帰省したときなどにふとついて出る新宮弁。あなたは新宮弁をどう思いますか?

万人が認める新宮弁の達人にして新宮弁研究の第一人者・城かず坊先生が、新宮弁の深淵に迫ります。それでは、よろしくお願いいたします。(編集長・八咫烏)
————————————————–
 「ぼし」を付ける言い方は、全国的にあるんでしょうか。それとも熊野地方だけの言葉なんでしょうか。
 「おこりん坊」や「やんちゃ坊主」の「坊(主)」にあたる部分の熊野言葉のことですね。「坊主」が「ぼし」に転訛したのでしょうか。それとも一寸法師や影法師の「法師」が「ぼし」に転訛したのでしょうか。

それでは、問題児だらけの「ぼし」たちを見てみましょう!

【ぼし】

ここは新宮の、とあるスラム街。ごくとれどもがたむろする、うす暗い通りの空気はピ~ンと張りつめている。

 「エ~イ! オラもうアッタマにきたド~!」
 おこりぼしの鉄太が、いつものようにわけもなく怒り狂っている。
 「フン! オレに言われたって、知らんデ!」
 と、へんくつぼし&ひねくれぼしのスネ太。
「アァ~ッ! あぶない!アブナイ~!ぶつかる!ぶつかるド~!よけ!よけ~!」
 ほたえまくっているのは、やんちゃぼしのケイ太。

 「オレの好きなようにさせヨ~!」と、人のことなど全然(でんでん)考えてない勝手ぼしのヒカルに対して、「お前の言うことは絶対(でったい)に聞かん!」と、突っぱねるがんこぼしの丸吉。

 「オレが盗ってきた自転車、また盗んでったの誰ナ~! 警察に言うたるでェ~!」
 と、きままぼしのヒロキが訴えても「盗んできたもの取られたて、べつにしょうないワダ」と、まるでやる気のない、なまくらぼしの新宮警察署のおまわりさん。

「あんた、これ。この前貸したお金、よ~返さんのやったら、保険に入ってもらうさかノ!」と脅すのは、やくだぼし(やくざぼし)の権太議長。

「そやの~、そのほうが、金ゃ、よ~け戻ってくるノ~!」と満足そうにうなづくよくぼしの○○市長。

あ~ぁ、こんなごくとれぼしばっかりやったら、熊野はひとつにならんワ! バラバラやだ! やっかいぼしばっかりやゲ~!(ジャンジャン!)

0