最も多く使用されているベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、大脳辺縁系のベンゾジアゼピン受容体に作用し、GABA受容体を介してさまざまな神経の機能を伝えるように働く。

抑制される神経伝達としては、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどに関連した神経系で、これらの機能が抑えられると不安や緊張がなくなり次第に眠くなる。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬はこのメカニズムを利用して睡眠をもたらす。

数十年前に多く使用されていたバルビツール系の睡眠薬はもっと直接的で、脳の睡眠や覚醒を司る部分に作用し、強い催眠効果を発揮するもので、麻酔に近いものがある。同時に、呼吸を司る部分にも抑制的に作用して呼吸が停止してしまうなど、効果を及ぼす範囲が広く安全性が疑問視されていた。ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の薬の登場で今ではほとんど処方されることはなくなった。

睡眠薬の副作用
バルビツール系の睡眠薬にとって代わってベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬が用いられるようになり睡眠薬の安全性はかなり高まったと言えるが、副作用がまったくないわけではない。ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用としては次のようなものが挙げられる。

ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用
翌日眠気が残る、ふらつく(持ち越し効果)
  効果が長時間続くタイプの睡眠薬で引き起こされる。睡眠薬の効果が目が覚めた後も続くためだ。高齢者に比較的現れやすい症状。ふらついて転倒すると危険なので注意が必要。
物忘れをする(健忘)
  薬を飲んで効果が現れてからの行動を覚えていないことがある。効果の続く時間が短いタイプの睡眠薬で起こることが多い。
薬に頼るようになる(依存)
  「反跳性不眠」といって薬を長期間服用していて飲むのをやめると眠れなくなるという症状。これを身体的依存と言ったりするが、これに対して、「薬がないと眠れないはず」という思い込みから不眠になる精神的依存がある。
睡眠薬が効きにくくなる(耐性)
  ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の薬ではほとんどないが、何年も同じ薬を使っていると効果を得にくくなってくることがある。主治医の指示に従って正しく飲むようにしよう。

以上のように、現在多く使われている睡眠薬には副作用があるが、睡眠薬に限らず薬品には使用目的である主作用とそれにともなう副作用のあるものが多くある。大切なのは、症状を見極め、専門家に処方された薬を適切に使用するということである。

(出典:あなたに合う睡眠薬と精神安定剤
~つづく~

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