2011年11月のある日、和歌山県新宮市の街の一角に歓声が響いた。「久しぶりやね!」「元気やった?」。新宮市立蓬莱小学校の同窓会だ。集まったのは、昭和36年(1961年)3月の卒業生87人。地元で長年教職に就いていた小淵伸二さんを中心に数名の有志が1年前から準備を進めていた。

少子化の波を受けた小学校の合併により、卒業した小学校の名前が消えてなくなってしまう。そんな寂しい気持ちと裏腹に50年会っていない大勢の懐かしい同級生の顔が次々と浮かんでくる。故郷への懐かしい思いが一挙に押し寄せてきて、一も二もなく返信用はがきに出席と力強く書いた。

会場では、50年という長い月日を経ても、あんな遠い昔のことが昨日のことのように思い出されて、あちこちのテーブルで話に花が咲いた。お互いの変わらぬ(!?)姿に接して大きな元気をもらったような気がした。そして、5年前のあの日以来、再開した友人たちとは、今も楽しく連絡を取り合ている。

さて、最近、還暦前後の世代では、各地で同窓会が増えていると聞く。定年退職が近くなり時間ができると、やはり故郷や同窓生への思いが募ってくる。旧友に会いたいという気持ちが強くなり同窓会へとつながっていく。しかし、大人数での同窓会を開くのは簡単ではない。そこで、どうすればスムーズな開催につながるかを考えてみたいと思う。

①準備は1年前から
 退職した人が多いとはいえ、まだまだ老け込む年齢ではなく、孫の世話やボランティア活動などそれぞれ結構忙しいはず。たっぷり1年という期間を設けて準備にかかるのが理想的であろう。

②名簿作り
卒業生名簿などを参考にしながら、連絡先を調べる。転居先不明者と連絡を取るには口コミが重要なポイントとなり時間と手間がかかる。名簿作りが成否を分けることを考えると、同窓会のホームページを作るなどSNSを有効に利用するとよい。出席予定者の名前を載せることで「あの人が行くなら私も・・・」という連鎖が期待できる。

③開催日の決定
開催日については、希望を聞く方がよいのではと考えがちであるが、1年前では希望を聞いても調整は難しい。幹事で開催日を決定して、まず告知のはがきを送る。出欠確認の往復はがきは告知の後でよい。

④会場は貸し切りにする
開催当日は、ドタキャンや連絡なしの出席にも対応できるようにしたい。そのためには貸し切りにするのが理想的で、気兼ねなく盛り上がることができる。また、2次会の場所は事前に知らせないようにするのがよい。事前に知らせると2次会から参加が増える。

⑤会費は余裕を持って
会費は余裕を持って徴収することも重要だ。頑張って安くしても、参加率はそれほど変わらない。思わぬ経費が掛かり幹事が自腹を切ったりすると、次回へ続かない。もし、余れば次回に回すとか、寄付するという手段もある。

⑥名札と卒業アルバムを用意する
久しぶりに会う者同士、顔を見てもわからないことが多い。名札を旧姓で作り、顔写真は貼らない。卒業アルバムがあると昔の思い出が蘇り話に花が咲く。

⑦進行はシンプルに
会の進行は、簡単な挨拶と乾杯程度にして、余興はあまり作らない。歓談だけで盛り上がるものだ。

⑧名簿は配布しない
作成した名簿は決して配布しない。参加者は、「全員には知られたくない」が多数である。

「同窓会なんて・・・」と、遠慮する声や、「昔を懐かしむだけなら、後ろ向き」というような声もよく聞く。参加率は2~3割程度というデータもある。だが、一方で、「何十年ぶりに会った級友から思いもよらない話を聞いて人生に力が湧いてきた」という話もある。たった一日時間を割くだけで何かが変わることもある。決して無駄にはならないと思う。

以上、同窓会を開く際のコツ、ポイントを整理してみたが、参考になれば幸いである。個人で手間をかけられない場合は、専門の業者もあるし、ホテルなどの同窓会プランを利用してもよい。

(八咫烏)

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