トゥアントゥアン・ダン・プアンプアン、スラマッ ダタン クー・・・
「Tuan-tuan dan puan-puan, selamat datang ke penerbangan Malaysia MH779 ke Kuala Lumpur!」

みなさんもお聞きになったことがあるでしょう?これはマレーシア航空の機内放送で流れる言葉で何度も聞いたので今でも耳から離れない。意味は知らなかったが、場面が場面だけに「レディーズ・アンド・ジェントルメン、マレーシア航空へご搭乗いただき・・・」の類であろうと容易に推測できた。語感からして多分「トゥアントゥアン」がGentlemenで「プアンプアン」の方がLadiesだろうと思ったら果たしてその通りだった。

現地の人はもちろん、日本人駐在員とその家族にとっても馴染みの言葉で、日ごろ東南アジアでの移動にマレーシア航空を利用すると必ず上記の機内アナウンスを聞くことになる。この「Tuan-tuna dan puan-puan」が、英語では「Ladies and Gentlemen」と女性が先に来るのと順序が逆で、日本語の「紳士淑女」の順番と同じなのが何だか面白い。

さて、中国語編で私はシンガポールに駐在したことを書いた。5年と少し住んでいたが、当のシンガポールはご存知の通り淡路島と比較されるほどの小さな島国である。国土の狭さにもかかわらず、ロンドン、ニューヨーク、香港などと並んで世界でも有数の金融の中心地になっているのは素晴らしい。しかし、高い山も農地もないので近隣諸国とうまく付き合っていかないと農産物など日々の生活物資の調達にも困ることになる。一方で、

生活必需品である「水」でさえマレーシアから輸入しているシンガポールは、輸入品に頼るところが大きい。生鮮食料品を中心に隣国であるマレーシア、インドネシアとの関係は切っても切れない関係にある。そしてこの2国ではマレー語が話されている。まして、国民の13%ほどは元々マレー系の人々である。最近の人口比率は、中華系74%,マレー系13%,インド系9%,(2017年6月)となっている。

シンガポールの言葉については、国語はマレー語。公用語として英語,中国語,マレー語,タミール語であり、それぞれの家庭では出身国の言葉を話している。また、日本の会社の現地事務所でも、この中国系、マレー系、インド系の民族の社員が働いている。従って、マレー系の社員と話する時も基本は英語だが、こちらがマレー語を話すとマレー語で答えてくれる。とはいえ最近は、やはりグローバル化の進展で若い世代を中心にほとんどが英語になっているが。

マレー語と聞いてみなさんがまず思い浮かべる言葉はなんでしょう。「オラン・ウータン」ですか? それとも「マタ・ハリ」でしょうか? マレー語が話題なるとき、何と言っても「オラン・ウータン(orang utan=森の人)」と応える人が多いと思います。動物園でもよく見かける人気者であるし何よりもまず子供でも知っているので代表的な言葉として紹介されることが多い。

大人になって歴史や小説に興味がある人にとっては「マタ・ハリ(Mata Hari)」がすぐに浮かぶかもしれない。「太陽」あるいは「日の眼」を意味するマレー語で、世界的にもっとも有名な女スパイの代名詞である。「マタ」は「目」のこと、「マタマタ」といえば「警察」を意味している。常に目を見はらして国民を守っているからだ。

マレー語は言葉の絶対数が少ないので、上記のように同じ言葉を繰り返すことで別の意味を表すことが特徴の一つといえよう。他には雑誌の名前でおなじみの「じゃらん」(jalan)は「~通り」や「行く」という意味だが「jalan jalan」と重ねると「散歩」の意味になる。「orang」は「人」で「orang orang」は「人々」、「pagi」は「朝」で「pagi-pagi」は「早朝」と言った具合だ。

マレー語は発音が日本語に近いので、日本人には易しい言葉だと言える。現地で暫く生活すれば言葉を覚えるのも早い。「nama(名前の意)」が日本語の「名前」と英語の「name」の両方に似ているのが面白い。覚え初めに必ず教えられるのは「チンチン」だがこれは「指輪」を意味する。因みに、タイ語で「チンチン」は「本当に」という意味である。こうして、「ことば」に対する興味がどんどん広がっていく。

 

 

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