私にそんな嬉しいことを言ってくれたのは、なんと九州では一番名の通ったQ大の教授です。
まずは普段にも増して長い前置きからおつきあいください。

福岡に住んでいたときのことですので、もう20年以上前になります。
指を骨折して、近所の整形外科に毎日リハビリに通っていました。ある日不意に「YOUさん、喉が腫れていませんか?」
これは一大事、以前誤診されたことはあるけど寄らば大樹の陰、Q大病院への紹介状を書いてもらいました。

何度か足を運び、甲状腺異常の疑いで、ついにMRIまで受けました。
この間、この種の病気で一番多いバセドー氏病(甲状腺機能亢進症)は、重症だと摘出手術を受けなければならないということなどを知り、不安で落ち着かない日を過ごしました。

いよいよ告知の時がやって来ました。目の前にいるのは、50代に見える主任教授。それらしい威厳が漂い、近寄りがたい雰囲気です。
診断は、甲状腺機能亢進症ではなく、反対の低下症、まだ軽いから、経過観察で足りるというものでした。
教授は「気を落とさないように。」と言ったあと、「甲状腺の病気は若くて美人がかかるのですよ。」と続けたのです。

私は覚悟したよりずっと軽くてホッとしたのと、教授に不釣り合いな冗談がおかしくて、「先生、私は若くもないし、美人でもありません。」と、返しました。
すると教授は、しかつめらしい顔のまま、『美人ではない』という点は素通りして、「いや、若いですよ。私がいつも診ている患者さんは定年を過ぎた人たちばかりですからね。」

美人はともかく、私は、当時35歳前後。なのに本気で「もう若くありません。」と言ったのですよ。
今振り返れば、35歳なんて、ほんとうに若かったのに・・・若さを無駄にしたようで、惜しいことしました。

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